ここはニューオーリンズの小さな街

街角の古い楽器店。
その店の前に毎日のように姿を見せる少年がいた。
少年はジャズが好きだった。
彼の住む裏通りのアパートの近く、表通りに面した古いクラブから流れて来るトランペットの音色は、いつも優しく彼の心を癒してくれた。
いつか自分もあんな風にトランペットを吹きたい。
だが彼の家は貧しく、高価な楽器など到底手に入りはしない。
ショーウィンドウの中で宝物の様にピカピカと輝くトランペット。
夕刊の配達の帰りにそれを眺めるのが彼の日課になっていた。

街に木枯らしが吹き始めたある日、いつものようにトランペット眺めていた少年はガラス越しに自分を見下ろす人影を見つけた。
振り返るとそこには古い革のケースを持った男が立っていた。
男は彼に話しかけた。
「坊主、それが欲しいのか」
「え?……う、うん」
「音楽は好きか?」
「うん、僕ジャズが大好き。いつもうちの近くの店の前で聞いてるんだ。聞いてると胸がわくわくしたり、そわそわしたり。とにかく大好き!」
「そうか、だがな坊主。あそこに飾ってあるのはな、中でもとびっきりのトランペットだ、俺にも簡単には手をだせねぇ」
男はしゃがむと手に持っていたケースのバックルを外した。
「どうだ、こいつで我慢できねぇか」
「え?」
「これはな、俺が初めて買ったトランペットだ。古ぼけちゃいるが音は確かだ」
「だ、だけど僕……」
少年はポケットの中の25セント硬貨を強く握り締め、そしてうつむいた。
「いいんだ坊主、その代わり上手くなったら俺に一曲聞かせてくれ。とびきりわくわくするヤツをな」
「ほんとにいいの?僕一生懸命練習して上手くなるよ!おじさん、明日も会える?僕にトランペット教えてよ!」
「悪いな坊主、俺は明日この街を離れなきゃならん。だがいつか必ず帰ってくる。その時までしっかり練習しておけよ」
「うん、かっこいい音が出せるように練習する!」
「いいか?そいつは音を出すためだけの道具じゃない、お前の心を人の心に伝えるための道具なんだ」
「わかったよおじさん、僕、僕……」
「よし、じゃあな。お前の心が聴ける日を楽しみにしてるぜ」
男は自分が被っていたハンチングを少年に被せ、そのまま強く頭を撫でた。立ち上がった男は振り返ることなく、夕暮れの街並みに消えていった。
ぶかぶかのハンチングを被った少年は見えなくなるまで男を見送った。涙が邪魔して男を見失わないように何度も目を拭いながら。

男は表通りのクラブで演奏していたミュージシャンだった。
いつもクラブのそばで見かけていた少年を偶然街の楽器店の前で見た。メンテナンスの為にたびたび訪れる店。
来る日も来る日もショーウィンドウの前に立つ少年の姿に、男はいつしか幼き日の自分を重ねるようになっていた。
男はこの町を離れなければいけなかった。もう二度と帰っては来られないかもしれない。
その現実を受け入れた男は少年に思い出のトランペットを譲る事を決めた。
男は少年に、この街に生きた自分を残したかったのかもしれない。
赤いフェルトに包まれたトランペットはぼんやりとくすんでいたが、そこに写る少年の瞳は宝石の様に輝いていた。

あれから10年。少年は青年となり、表通りのクラブのステージに立っていた。
この音色は、僕の心はあの人に届いているだろうか。遠く、あの空の上にいる、あの人に。
彼の穏やかな音色はクラブの客の心を優しく包み込み、客の誰もがその顔に微笑みをたたえている。
ホールの端、照明がいまいち届かない薄暗い席。この席が指定席になっている老人がいた。
常連客でさえあまり動いている所を見た事がないその老人が、珍しく顔を見上げ、肩を震わせながらつぶやいた。
「10年ぶりじゃ、この音色は」

すっかりサイズが丁度良くなったハンチングは、彼の頭の上で微笑んでいるかの様に見えた。



的な事が起こらないかなーつってMEZZのカタログ眺めてたら。
起こりました。

前の記事を読んでくださっていたH野さんがWX700をくださると。
マジか。
というのもH野さん、MEZZのEC-7を買った後Z2に交換。然るのちMUSASHIをご購入なされ(野内Pモデルの激烈カッコイイやつ)、ECは売却したためWX700が浮いてしまったと。
是非のっぽさんに使っていただきたいとのお申し出。
是非使わせていただきたい。

いつもにこやかで面白い方なんです。
「スクラッチ」を「チェケラッチョ」と表現します。
よって「スクラッチしそう」は「チェケりそう」となります。
これが一部で流行。
真顔で「これはチェケりますね」とか言うものだから吹かずにいられない。
菊水でK地さんに師事する姿を見かけてからほんの1年ほどでめきめき上手くなってて、非常にセンスのある方。
ただセンスがあるだけじゃなく、ストイックに練習する姿も見ていましたから物事に真摯である事には間違いない。
アタシに物をくれる人は無条件でいい人なはず。
飴くれたら付いていくタイプののっぽ。ゆるすぎる。

頂いたシャフト。
DSC02135.jpg

元々アタシが使っていたのはWD700。
頂いたのはWX700、その進化版。と言っても先角の材質が変わっただけらしいですが若干テーパーも違う気がする。

なじむ!実になじむぞ!フハハハハハ

パワーがありヒネリも乗る。
前よりトビも少ない気がする。
最近ノーマルシャフトで撞いていたので若干アタシの撞き方が変わったのかも知れませんが、でも安心して逆もヒネれる。
いいシャフトですよこれは。
そんなにいろいろなシャフト知っている訳でもないし、撞き比べて違いがわかるような腕前でもないですが、少なくともアタシにはなじんでます。

なんだかいけそうな予感。
仕事も一段落付いたので今週のヴイナスウィークリー出ようと思った日曜日。
そしてその結果は……

明日の朝刊折り込みチラシでブログ記事で!

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